お相手は坂本龍馬と中岡慎太郎、新たに紡ぐ幕末志士のカタチ

「お相手は坂本龍馬と!」「中岡慎太郎!」「この両名でした!」という高らかな声が響き渡る。もはやおなじみとなった土曜夜の光景だ。毎週彼らはかろやかに笑いを生み出していく。

 

新体制になってから、1年。

 

穏やかな雪国で『生涯ゲーム実況』を掲げる男が再び坂本龍馬というキャラクターを演じることを決めて1年がたつ。一筋縄ではいかなかったであろうその道を選んでくれたのは、隣で中岡慎太郎という相棒が支えてくれたからにほかならない。私はファンとして、応援できる場がありつづけたことを嬉しく思う。

 

 

6月27日、幕末志士は新たな形になった。

 

 

 

新体制で始めよか!

霧崎鋭は坂本龍馬であることを選んだ

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2020年6月27日。

突然の生放送にて、新たな体制で新幕末志士が生まれることが発表された。

 

そのお知らせは突然やってきた。

 

それまで数々のキャラクターを演じた彼が再び幕末志士の『坂本龍馬』を選ぶかどうかはまったくもってわかっていなかった。もし配信をしてくれるのならば……霧崎鋭であれパニ山であれ、エンタメの鬼である彼が彼である限りその面白さは変わらないと確信していたが、坂本龍馬をまたやってくれたら嬉しいだろうなという思いはあった。そんな想いとともにあの2か月間を過ごしていたのをぼんやりと覚えている。

 

「みなさんこんにちは。坂本龍馬です」

「次の推しは見つかりましたか?」

 

突然の配信。いつものように名乗った彼の声はあまりに柔らかく優しかった。

KAWARA-BANを彷彿とさせるような声で淡々と近況を語り、一般人として戻ることを話すと、コメントがどことなく湿っぽさを帯びた。彼は動揺で満ちる色とりどりのコメントに「ね、みんなありがとうね…またどっかで会おうね。うん…みんな本当にありがとうな」と告げ、すぐに。

 

「って騙されてるんじゃねえよお前ら!!!!!!!!!

まじで!!!!!!!!!!!!」

 

 

大音量のどんでん返しに思わず息をのんだ。

 

その瞬間、異様なほどにエンタメにこだわり、よく笑いよくはしゃぎ、炎がよく似合う『坂本龍馬』という男が再び戻ってきたことをようやく思い知ったのだった。

 

 

N君から中岡慎太郎

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ネカマのグルメは札幌各地のおすすめご飯企画だ。ご飯が大好きな人の食べ物話を聞くのは楽しい。

 

戻ってきた坂本さんの相方となった中岡慎太郎は、放送でたびたび登場していたN君だ。坂本さんが幕末志士として活動をする前、コンビをしていた『髭と豚』の片割れでもある。

 

幼馴染であり、ネカマのプロとして元嫁をした謎の経験がある中岡さんは、まっすぐでどこかぼけていて一生懸命で、なにより面白い。時折漏れる毒舌や、擬音語がユニークだ。トークセンスやゲームプレイがどんどんうまくなっていく姿を見ていると、応援したくなる。

 

どついて笑って遊びたおす

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坂本龍馬暗殺阻止ゲーはチーム幕末によるもの。漫才を見てるような気持ちになる小気味いい実況だ。

 

新幕末コンビの魅力はカラッとした面白さだ。

テンポがいいコント調や自由度の高いゲームがよく似合う。ゲーム実況はさまざまな伝え方があるが、このグループはつくづく『笑い』を重要視しているのだと思い知らされる。

 

特に中岡さんがアシストする形でのマルチタスクゲーは魅力倍増だ。中岡さんのわかりやすい説明やサポート力、坂本さんの発想力の高さがぴたりと合っている。Good Jobなどがその例だろう。

また雑談や中岡さん企画もので時折見られるどつきあいのプロレスのようなトークはテンポがよく、餅つきのようなクセになるリズム感がある。

 

最近では坂本さんのやりこみ企画やソロ配信、またクリエイターを巻き込んでのグループ実況などもあり、新たな面白さをとことん楽しめる。色んな角度のエンタメに毎度笑いつつ、まだまだこんな「面白い」があったのかと驚いてしまう。初めて動画を見てから10年以上、ハマってからは数年が経つ今でさえ、視聴していて「面白い」が更新されていく。それは彼らがその「面白い」のために日々工夫し、努力しつづけてるからだろう。

 

 

どんな困難も乗り越えていこう。この歩みで。

 

歩きハンクの投コメをふと思い出す。

2020年はまさにメンバーたちの歩みでどんな困難も乗り越えていった年だった。

 

毎週のように放送があり、ソロ配信がある。かつて予想だにしてなかった嬉しい未来がいままさにここにあるのがファンとして嬉しい。

これからもまたたくさんの笑いが待っているのかと思うとどきどきする。

 

前へと進む彼らが好きだ。面白いから好きだ。

これからも幕末志士の活躍を元気に応援していきたい。

 

 

 

 

幕末志士は新時代の夢を見るか?

 新しい風が好きだ。


 春に咲く花、新発売の商品、おろしたてのコートがふわりとふくらむさま。知らない世界、なじみのない文化、はじめての光景。いつも通りの代わり映えしない日々と慣れた作業におそろしいほどの安定と安心を求める一方で、目新しさに惹かれてしまう自分がいる。一歩を踏み出す前向きさがまぶしくてたまらないのだ。


 昨年度の幕末志士は「新しい」に尽きるだろう。
 卒業があった。期待の新人がやってきた。体制が変わった。ソロ配信もはじまり、YouTubeでの活動も精力的になった。グループでの配信もたびたびするようになった。それでもなお"新しい"をとりいれながら、根本的な懐かしさは変わりないのが幕末志士の良さだと思う。


 坂本龍馬と相方中岡慎太郎が話すのは、学生時代のたわいもない思い出だ。そうしてソロ放送でキッズ人気が欲しいとわめきながら選ぶのは、懐かしい高橋名人のゲーム。毎日同じような生活の中で、優しい記憶とともにコツコツ編集と配信を続け"新しい"を紡いでいく。それは坂本さんらしいやり方でもあるし、同時にまるくなったとも思う。大人になった彼らしさだ。今、私たちが生配信を怯えることなく安心して楽しめるのは、彼らがこの一年おだやかに新風を巻き起こしてきたからにちがいない。そしてもちろん彼らが努力しつづけたからだ。


 一方で新人らしいフレッシュさで坂本さんを引っ張り、時に暴走するのは相方の中岡さんだ。その屈託のなさと素直さにやわらかな気持ちになりながら、変わったワードセンスに思わず笑ってしまう。その輝きはまさに期待の星だ。初心者ゆえの予想外の行動に振り回されている坂本さんというのも見ていて面白い。


 日常の一部として彼らのエンタメを享受する中で、変わらない「今日も面白かった」という気持ちとともに、ふっと風に気づく。知らなかった展開、知らなかった世界。何度も見ていたはずのコンテンツに新たな物語を見出す。未来を紡いでいくその姿勢はどこまでもまぶしく、とりどりの色で満たされている。だからこそ応援する手がとまらない。これから何度も読むことになるかけがえない小説に出会った時のような没頭感がクセになる。今も昔も変わらぬ面白さもどこまでも魅力的だ。

 

 新しい風が好きだ。

 春に咲く花、新発売の商品、おろしたてのコートがふわりとふくらむさま。知らない世界、なじみのない文化、はじめての光景。これからも変わっていく新たな風を、幕末志士という物語に加わる新たな文脈を、桜色の輝く季節とともにこれからも応援していきたい。

実況者、坂本龍馬の物語は続く

 大好きな実況者がソロ配信もはじめた。

 

 この一年間彼が精力的に活動し続けてきたことは、ファンとしてよく知っていた。『生涯実況』をSNSで掲げてからは地道にコツコツとアーカイブを上げ続け、配信も頻繁に行っているのも知っていた。

 困難があってもなお、持ち前の精神力で前を向いて進んでいく彼の強さが好きだ。ファンを大切にしてくれる姿勢とエンタメに対する異様なほどのこだわりが好きだ。そしてなによりゲームを楽しそうにやる姿が好きだ。放送で見せる新たな一面が好きだ。好きで、だからこそずっと応援しつづけている。

 

 今日はそんな彼、ゲーム実況者坂本龍馬『サカつべ』について語りたいと思う。

 

 

 

新たに始まる物語

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 『サカつべ』は文字通り、ゲーム実況者である坂本龍馬が行うYouTube配信だ。

 

 サカつべ以前も幕末志士チャンネルでは「スマカス拳」などが行われていたが、いわゆるやりこみ&対戦ゲーだった。RPGに関してはほとんどといっていいほど実況プレイをしておらず、本人もニコニコの放送で自身の力量を心配していたほどだった。

 

 ちなみに坂本さん曰く急に「サカつべ」を始めた理由は、リアルでのお見合い回避らしい。なんとも坂本さんらしいというかなんというか…。

 

 現時点で、サカつべの動画は3本見ることができる。今後増えていくだろうが、今回はその3つを順次紹介していきたい。

 

 

サカつべ3選

初サカつべは「かなしいです」

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実況ゲームは『ロマンシング サ・ガ

 

 記念すべき初めての放送は、ロマンシング サ・ガ

 

 実はこのサムネは放送前に何度も変更されている(というか今のところ全ての生配信のサムネは放送直前に差し替えられたものである。ゲームタイトルを予想しつつ最終決定を心待ちにするのもちょっとした楽しみだ)。私はいつもサムネのリアルティさが怖くて笑いながら泣く。

 

 配信ではロマンシング サ・ガのストーリーとともに、坂本さんがお姉さんとの思い出をしみじみ語っている。

 

 発売当時は文字さえよくわからずお姉さんの隣ではしゃいでいた少年が大きくなり「姉さん、僕の姉さん見てますか?」「あなたが30年前にどうしても越せなかったあのゲーム、今日僕が姉さんの代わりに最後まで越します」から配信を始めるという流れは、胸熱展開そのものだ。完全にオタクが大好きなやつ。初めて見たゲームだったが、ひとつひとつ丁寧に説明をしながら配信を進めてくれるため没頭できた。

 

 ゲーム実況の魅力は、知らなかったゲームと出会うきっかけを与えてくれることだ。

 RPGは集団での実況には向いていない。彼がソロ配信をしてくれなかったら、きっと私はゲームの存在も知らないまま、面白さにも気づけなかっただろう。

 

 ちなみに気になる『お姉さんの代わりに越せたかどうか』だが、配信タイトルを見ればごらんのとおりだ。

 

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コント:不殺拳

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実況ゲームは『MGS5:GZ』

  

 2回目の放送は、『MGS5:GZ』だ。

 サムネの真顔でこちらを見てくる謎アバターがじわじわくる。「こっちみんな」という言葉がよく似合っている。

 

 『不殺拳』と名付けられたこの配信では、人を殺さない縛りをしている。「正義の誓い」「真のヒーロー像」などと説明した後で、「僕…もうコメント見られない。潜入ミッションの"""""獣""""""になるよ」と突然謎の発言をかましてくるところがたまらない。本当に急に獣になりだすからびっくりする。

 

 その後宣言通り人を殺さず戦場に赴くわけだが、この展開がまあ面白い! 完全にコントなのだ。人を殺さないようにてんやわんやする様はお世辞にもかっこいいスパイとはいえず、もはやケイドロにしか見えない。

 

 彼のピエロっぷりが生きているまさに『彼らしい』配信だ。おそらく本人も予想外だったであろうオチも含めて、坂本龍馬という男の道化を体現していると私は思っている。

 

 MTGシリーズの車縛り新幕末のアーカイブも見返したくなる放送だ。

 

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道ゆく人に花束を

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実況ゲームは『のらねこ物語』

 

 3回目の放送は、『のらねこ物語』だ。

 野良猫の主人公が他の猫や道行く人間と交流をしていくゲームである。パッケージの愛らしい見た目とは裏腹に、ストーリー上かなり悲しい要素もあるので苦手な方は注意。

 

 配信では実況界きっての猫好き(愛猫ミケはなんと御年22歳だ!)の坂本さんが、おどけながらもいつもと違った様子で悩みながら選択をし、自分の考えを交えて話し、向き合い、ストーリーを紡いでいく。

 そこにはRPG放送ならではの良さがつまっていた。

 

 「野良猫は保護をしてかわいがって長生きしてほしい」という考えを持っている坂本さんは、ゲーム内で必死に生きる野良猫を見て胸打たれる。野良猫として生きるために、人間たちと必死で交流をする。それなのに自身が演じるキャラクターも苦しい状況の中、幼い兄弟猫の鳴き声に耐えきれず食べものをあげてしまう。

 

 ネタバレになってしまうので多くは語らないが、ゲームの中で坂本さんはありとあらゆるキャラクターに花を渡していた。私はそのシーンが好きだった。

 

 ご飯をわけてくれる人間と頼りにしてくれる幼い猫たち。坂本龍馬という実況者がどのストーリーを選んだかは見てのお楽しみだ。

 

 

store-jp.nintendo.com

  

 

たくさんのゲームにかこまれて

 放送が増えていくたびに「面白かった」が更新されていく。

 

 紹介した上記の配信では坂本さんの思い出が語られている。お姉さんがゲームをしていたこと、キャラクターがお父さんに似ていること、自分が愛する猫のこと……。そのどれもが優しく、彼がゲームとともに人生を紡いできたことがわかる。

 

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大量のゲーム片手に友達と楽しく談笑する。宝物に囲まれた子供のように。(新ラ5回)

 

 ゲームと思い出が表裏一体になっているからこそ、ゲームとともに生きてきたからこそ、ゲームを愛してきたからこそ、坂本龍馬の配信は面白い。

 これから先、また新たな「楽しい」がやってくるのだと思うと、わくわくしてしまう。

 

 坂本龍馬という人は、私にとって世界一のゲーム実況者だ。

 

 これからも彼が生み出す物語を堪能していきたい。

 

君は幕末志士・坂本龍馬の『モテ編集』を知っているか!?

ゲーム実況者の編集に思いを馳せるのが好きだ。

同じ題材やゲームでも、切り取り方一つでまるっきり内容が変わるというのは面白い。ゲーム実況というジャンルを楽しむ際、その人のゲームプレイやトークセンス、性格に目がいきがちだが、編集に目を向けてみるとその人が『どこを一番重視しているのか』が少しだけわかったような気がする。

 

坂本さんのモテ編集の話をさせてほしい。

 

モテ編集という言葉は、主にラジオのアーカイブなどで坂本さんの編集に対して使用されている。略称は『モテ』『モ編』など。彼の編集を褒める際によく使われるフレーズだ。

 

今回は大好きなゲーム実況者坂本さんの『モテ編集』について語りたい。

 

 

 

坂本龍馬の編集スタイル

 

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ラジオアーカイブ生特5ではボンバーマンの裏話が聞ける。坂本さん曰く編集点が入っているらしいが……。

 

坂本さんというと『世界のエンターテイナー』『ピエロ』という通り名が脳裏をよぎるが、そのキャラクター性とは裏腹に編集自体は実にさっぱりとしている。

 

以前も記事で触れたが、彼の編集はさりげなくわかりやすいのが特徴だ。Youtubeで主流となりつつあるテレビのバラエティー番組的な編集ではないので、注意深く見ていないとその工夫を見逃してしまうかもしれない。

 

 

彼の編集は派手ではない。おだやかだ。

 

けれどもその編集は日々工夫が重ねられている。彼のそうした努力にふと気づくたび、私は勝手に興奮している。いつでも探している。どっかにモ編の姿を探さずにはいられない。向かいのホームにも路地裏の窓にもモ編は存在しない。Youtubeチャンネルとニコニコ動画にモ編はいる。

 

では彼のモテ編集は一体どこにあるのだろうか?

 

 

坂本龍馬のモテ編はこれだ!

モテ編集①:シンプルかつ魅力的なサムネイル

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※奴来る12周年記念は奴が来る壱を思い出させるようなファン感涙のサムネイルだ。

 

彼のサムネイルはニコニコ動画らしさが残っている。すっきりとしたサムネイルの中に面白さがあるのだ。

 

最近はニコニコのラジオアーカイブではなくとも挿入イラストをクリエイターが担当していることが多く、どれもゲームの世界観を表した素敵なサムネイルになっている。

また1年ほど前からはゲームに合わせたフォントを積極的に使用していて、目で見ても楽しい。

 

なかでも奴来る12周年は、奴来る壱を意識したサムネイルだろう。

最近のサムネの中ではかなりシンプルではあるが、気づいた瞬間感動が押し寄せてくるタイプのものである。こういった伏線回収のうまさが好きだ。オタクのことをよくわかっている。

 

モテ編集②:コメント入りとコメント無しの配分

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※エムノートでは自筆ノート部分にコメントがかからないように編集してある。

 

ラジオアーカイブではゲーム時に視聴者が集中できるよう、あえてコメ無しを使用する。

これがもっともよく知られているモテ編ではないだろうか。

実際にニコニコ動画ではゲーム時にコメント無しに変わる様があまりに自然なため、この瞬間『モテ編』『モヘ』『モ編』などついているのがよく見受けられる。

 

最近あがった『怒りのボンズ』では、スライドが変わった瞬間数秒間コメ無しになるというモ編の離れ業を披露している。

おそらく視聴者側のスライドを読む時間を考慮しての編集だろう。気づいた瞬間は正直その気遣いに鳥肌が立った。

坂本龍馬、どこまでモテれば気がすむのだ。この男は。

 

 

モテ編集③:読者の負担にならないカットや音量調整

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※えほんRPGでは放送時の暗転部分が自然にカットされている。

 

生放送のアーカイブ化でよく見られる方法である。

とりこみが上手くいかなかったなどの理由で若干ぐだった際は、アーカイブの際だいたいキレイにカットされている。また歌系のアーカイブ放送時よりも音量が大きめになっていたりクリアになっていたりすることも多く、ゲーム実況者の歌声になぜか狂いがちな人間としてはありがたい限りである。

 

一方でオタクとしてはそういう『ぐだり』がたまらなく、心に来るときもある。

そういった点では、伝説の回西郷トントンはオタクの思いが(おそらくエゴサによって)届き、カットされなかった稀な例である。

個人的には汚い風が楽しめる維新の風がおすすめ。接触悪いなあ……といいながらフーフーする音が予想の10倍くらいデカくて毎回笑ってしまう。

 

 

モテ編集④:ながら見に優しい点数表記

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※即死スマブラ64では得点表示にSD中岡さんがこっそりいる。

 

幕末志士はいわゆる対戦ゲーをすることが多い。私などは頭が緩いのでぼーっとしていると今何対何なのか忘れてしまいがちだが、そんな時に助かるのがこの編集だ。

 

またくにお君などドットゆえにキャラの見分けがつきにくいゲームに関しては、1P2Pの名前が編集で説明されてたりすることも。

 

最近はスマブラ妹が誘拐されがちな某あの人は、お決まりのBGM突っ込みのほか、生放送中自分で勝敗のカウントを書き出すというリアルタイム編集をしたりしている。考えただけで手も足もせわしなく動いてそうだ。

 

 

モテ編集⑤:あまりに自然な編集点

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※編集見るの好きとして実はおすすめなのが黒歴史シリーズ。

 

坂本さんはとてもナチュラルに編集しているため、だいたい編集点がわからない。

最近のゲームアーカイブにしても、3分休憩という仕切り直しを考慮してもラジオの途中とは思えないくらいキレイに切り取るなあと感嘆してしまう。

 

場面と場面の間や、一瞬の息継ぎの静寂を編集点にしているのだろうと理解してはいるのだが、やっぱりよくわからない。

 

そんなうますぎる編集点が探せるのが、黒歴史シリーズだ。

黒歴史動画はニコニコ動画の使用上60分以内に収めようとして、実はいろんなところで編集されてたりする。ラジオを聞くと無修正版が楽しめるので、会員はぜひ動画だけではなくラジオアーカイブも見てほしい。

 

ちなみに黒歴史編で私が一番好きな編集点は、RO編でN君(とのチャH)で童貞を捨てたが丸ごとカットされてるところです。

 

これからも世界のエンターテイナーは『モテ』つづける

 

アーカイブ投稿頻度や生放送、アーカイブ自体の編集などを見ていると、今頑張っているなあと感じる部分が多く、ファンとしては嬉しくなってしまう。

実際に今回改めて記事を書く際に改めて色んな動画を見ることで、もっと彼を好きになった。

 

見せ方は魅せ方だと思う。

彼のエンタメ、編集、キャラクター性、その一つ一つが私を今日も魅了する。

(本来の意味とはさておき)これからも『モテ』つづける人間だと、私は思っている。

 

これからも今後のエンターテインメントが楽しみだ。

 

 

 

 

 

拝啓、世界のエンターテイナーへ

九月十五日、推しがまた一つ歳をとった。

 

私にとっての推しとは、ゲーム実況者の幕末志士坂本龍馬のことである。顔も手も知らないその人にドツボにはまり魅了されたあの日から、随分と時間がたつ。

 

今まで私は幕末志士について、このはてなブログで勝手に想いを述べつづけてきた。特に坂本龍馬という人について語りだしたらキリがない。彼のセンスが好きだ。彼の声が好きだ。彼の編集が好きだ。彼の掴みどころがない一方で、変なところでやたら素直な性格が好きだ。彼のひたむきな努力が好きだ。彼の、なにもかもが好きだ。

その中でも一点、とりわけ好きなところを答えなさいと言われたら、私はこう答えるだろう。

 

坂本さん。

私はあなたのエンターテインメントにかける情熱が大好きです。

 

 

坂本龍馬は世界のエンターテイナーである

道化の華として

彼はよく自分のことを『世界のエンターテイナー』と呼ぶ。

 

その時の朗々とした感じが好きだ。

少し大仰なその自称にはおそらくいつものピエロ的な部分も含まれているのだろうけど、私にとっての坂本龍馬という存在は『世界のエンターテイナー』に他ならない。たとえそれが、彼にとっては『道化』に含まれるものだとしても。

 

以前私はこんなツイートをしている。

 

 

この呟きはスマカス拳の感想なので、正確に言うと役柄がずれている。けれども一番今の感情を表してる呟きだと思ったので引用した。

 

スマカス配信時、彼はソロとしては初のYoutube生放送だった。その声は少しこわばっていて、こちらにまで緊張が伝わってくるほどだったのを覚えている。それがゲームをした瞬間、いつもの様子に変わった。その流れが狂おしいほど好きだった。

また配信内容も(本人にとっては悔しいものだったかもしれないが)、あまりにも彼その人らしい展開だった。

 

坂本龍馬やパニ山パニ夫。魅力的な坂本派生のキャラクターの数々。誰も知らない中の人が演じるそれらには、ある共通点がある。

それはピエロとして最高のエンターテインメントを提供してくれているという点だ。

 

霧崎鋭は坂本龍馬の夢を見る

大学時代の霧崎鋭は、クソサイトのことをこのように表現している。

「僕のピエロッぷりを明らかにするサイトです」と。

正直なところ、なぜそんな十五年以上もピエロに囚われているんだ……とも思うが、良くも悪くもこれ以上に彼らしい言葉はないだろう。

彼がわざわざ動画で人間失格の一文を引用するほど、熱心な太宰治ファンというのも納得できる。

 

そんなピエロの集大成が、インターネット上での坂本龍馬というキャラクターなのだろう。

どんでん返しに長け、感情豊か。頭がよく回る一方で、変なところで抜けている。トークセンスもあり、どんなに話を聞いていても飽きない。

演者自身の魅力ももちろん根底にあるが、彼の生来の道化が最高の形で昇華され、活きているキャラクターだ。

だからこそ、坂本龍馬は世界のエンターテイナーなのだ。

 

彼にとってのエンタメとは

辞書的な意味でのエンタメ

ここで彼が言うエンタメの意味について再考したい。

 

まずエンタメを辞書で引くと、

kotobank.jp

『楽しませてくれるもの』、『人を楽しませるもの。楽しむためのもの。娯楽。』というような意味が出てくる。

 

また手元の英和辞典を引くと、このような意味の他に『もてなし』というのも載っていた。

放送などを聞くかぎり、個人的にはこの『もてなし』という意味も多く含まれているような気がする。

人を楽しませたい、何事においても楽しみたい。そのために自分は何ができるかという観点から、もてなしという名のピエロをする。

 

彼が面白いのは、普通の人なら気にも留めないところでもエンタメを見つけていることだ。

最近では、食生活でもエンタメを発見しているのが明らかになった。

 

日々の食生活にも喜びを

youtu.be

食自体に興味がないのに、食に楽しみはよく見出すというアンビバレントな様子がよくわかるのが上記の動画だ。

 

「エビを焼くということにエンタメを感じている」「(ブラックタイガーのような種類のエビが)焼いてくと、普通のエビの色になっていく。この変わり種みたいなところに遊び心を感じている」「砂肝も触感がすごいシャリシャリしてて、肉っぽいところに遊びを感じている」

 

理解できるかどうかはさておき、着眼点が実に鮮やかだ。

私が好きな言葉の一つに「すべての信号を花束と間違える」という文章があるが、それをふと思い出した。

周りが「え?」と思うようなこの僅かばかりのズレは、彼が食事を娯楽として消化しているのがよくわかる。

 

この話をした時に、尊敬しているフォロワーさんが「彼は食事じゃなくて、楽しい雰囲気を食べに来ている」と言っていた。

私もそうだと思う。

食事に興味がないのに、人とご飯に行ったり幹事をするのは、そこで生じる会話や思い出を大切にしたいからなのだろう。

もしそうなのだとしたら、人間が好きな彼らしい考え方だ。

 

娯楽は努力の上に成り立つ

そんな彼がもたらしてくれるエンタメは、想像もつかないほどの努力と気遣いが見受けられる。だからこそ、面白い。だからこそ高クオリティなのだと思う。

きっと私たちの知らないところで、途方もない労力をかけて準備をしているのだろう。その力の入れ具合には頭が上がらない。想像しただけで気が遠くなり、嬉しい、ありがとうの気持ちでいっぱいになる。

 

彼の編集はさりげなく、わかりやすい。

あまりにも自然にやってのけるので、注意しないと「なんだか今日見やすいな」と思いながら、その工夫を見逃してしまう。

 

例えばネカマのグルメでは、漫画のコマ含めた画像全てにコメントがかからぬよう編集が施されている。そのため視聴者はコメントに邪魔されることなく、漫画を読むことができる。

 

また私はデザインについて疎いのでなんとも言えないが、最近のYoutubeのサムネイルは5W1Hを意識しているのがわかる。Youtubeという新たな媒体を咀嚼しながら彼らしい編集方法で、見せ方を考えているのだろう。

 

音量や音質に対するこだわり、トークテーマ、準備、話のテンポやしゃべり方。ゲームに対する時間の割きかた。その一つ一つは積み上げられ、彼をより魅力的にしている。

 

『見せ方』は『魅せ方』だ。

 

時代とともにアップデートし続けていく彼の努力と優しさが滲みでた編集が、私はとても好きだ。

 

誕生日配信は魅力いっぱいのお楽しみ袋

己の誕生日に黒歴史を語る男

youtu.be

九月十五日の誕生日には、youtubeにて生配信があった。

『己の誕生日に黒歴史を語る男』は当初雑談配信かと思われたが、クリエイターのKさんの電話で事態は思わぬ方向へと向かっていく。

 

プレゼントとして用意された黒歴史ゲーを、坂本龍馬は行うことになったのだ。

 

世界に反撃したくなるんだよ、クルトンこねぇと!

もう、腹をかかえてヒーヒー泣きながら見た。笑いが止まらなかった。

なんでこの人こんなに面白いのだろうと心の底から思った。普段の雑念が消え去り(死ぬほど面白い)という感情しか残らなかった。エンターテインメントとして最高の伝え方だと思う。

 

黒歴史は彼のピエロに大きなスパイスを与える存在だ。

厨二的なシナリオと、彼のリアクション芸、ゲームを制作したクリエイター陣の熱意が合わさり、とんでもないクオリティに仕上がっていた。

欠落の再来だと思った。

 

最高同接は2.2万。

彼の地道な努力がある種の形で花開いたと思うと同時に、彼の力を見せられた気がした。ハマってもハマっても、彼の底はいまだ見えない。常に予想以上のエンタメをみせてくる。それが彼だ。坂本龍馬という男だ。だから私はこの人を推していきたいと思ったのだ。

 

それだけさ人生は!

誕生日配信の主コメには「それだけさ人生は!」と書いてある。

この『それ』がどうしてもわからない。黒歴史をさすのか、エンタメか、はたまた別のなにかなのか。

わからなくていい。わからないままでいいんだ、と思う。

 

この主コメで某有名な唐詩を思い出した人も多いだろう。

もし意識したのならば、花に吹く嵐は確かに彼の人生に似ている。一方でからりとした主コメもまた実に彼らしい。

「それだけ」と語る彼の人生は美しい色彩に満ち溢れている。

 

そんな彼が好きだ。

これからも坂本龍馬が提供するエンタメを、全力で楽しみ、全力で応援していきたい。

霧崎鋭は幕末志士の夢を見るか?

 

1 霧崎鋭という人

 

霧崎鋭という人間が好きだ。

頭がよくて、飼っている猫を溺愛していて、生活が雑で、そのくせ変なところで潔癖で、友達想いで、弱くて、強くて、なによりゲームが大好きな30代。

それだけの情報しか知らないのに、私は彼のことがどうしようもなく好きで仕方ない。

 

顔は知らない、手も知らない。今までどういう生き方をしてきた人で、普段どういう生活をしていて、どういう気持ちで毎日を過ごしているか。彼が考える未来はなんなのか。私はそれらすべてを知らないし、きっと今後も彼が与える情報以外は全く知ることなく暮らしていく。それでも、なにも知らなくても彼のことが好きだ。できることなら彼には毎日笑顔で楽しく永遠に生きていてほしい。本気でそう、願っている。

 

霧崎鋭という男が坂本龍馬なりパニ山なりテリ山なりを演じる時、私は大体いつも気が狂う。

 

例えば、彼が放送をしていただけで何もかもが嬉しくなりデートをドタキャンして恋を失った。GW中の騒動時は気が動転しすぎて酒を70缶飲み、危うくアル中になりかけた

 

そのくらい、頭がおかしくなってしまうくらい彼のことが好きだ。どうして好きなのか具体的なところをあげたらきりがない。けれども決定的に好きになった理由はもう忘れてしまった。強いていうなら「彼が推しだから」としか言いようがない。

 

2 幕末志士が大人を見せた

 

春先に私は「幕末志士は子供時代の夢を見るか?」という文章を書いた。

あれから誰もが予想もしなかった未来が訪れ、幕末志士は怒涛の展開を迎えた。

 

「大人な部分を見せちゃだめだと思う」と言っていた彼は、ある日突然相方の不調の報告とともに、二人が今の現状について悩み続けていたことを吐露した。そして二人は心の一番柔らかい部分を視聴者に洗いざらい見せてくれたのだ。そんなこと、今まで一度もなかったのに。

 

長年相方だった西郷は卒業し、今では新たな名義で活動を行っている。坂本龍馬を名乗る男は、穏やかで朴訥とした札幌という街で一般人に戻ることを選ばなかった。「霧崎鋭」ではなく「坂本龍馬」として、新たな相棒中岡慎太郎と共に活動を続けることを選んだ。成長した西郷がいつか帰ってくるその日まで。

 

正直なところ、彼が約一か月もの空白の期間を経た末に、西郷が卒業しても尚幕末志士は続けること、坂本龍馬をまだ演じてくれることを告げてくれた時驚いた。

 

チェックメイト時「この人からインターネットを奪わないでください」と西郷に言われるほどに電脳世界を愛している彼のことだ。なにかしらの名義でどこかで活動してくれるとは思っていたが、心の中では坂本龍馬はもうこれっきりなんじゃないかと思っている自分がいた。『幕末志士』は、『幕末』を坂本、『志士』を西郷が背負っている運命共同体コンビであることは誰もがわかっていたからだ。けれども西郷の「続けてほしい」という意思を引き継ぐような形で、霧崎鋭は坂本を演じることを選んだ。

 

それは誰もが悲劇だと思いこんでいた最終回が、誰もが祝福したくなるような優しい終わり方だったことと関係しているように思う。

 

3 泣きたいほどにハッピーエンドだった

 

ゴールデンウィークに放送された忘れもしない最終回。

なじみのあるゲームを楽しんでいる彼らはどこまでも面白く、どこまでも楽しそうで、笑いが止まらなかったことを今でも鮮明に覚えている。

またその後愛にあふれた記事が、視聴者の間で話題になったことは記憶に新しい。

 

realsound.jp

 

この記事の「また会いたい2人の友がいる」という言葉に共感した人も多いと思う。私は放送を見て泣き、この記事を見て泣き、さらに二人を想ってもう一度泣いた。彼らは私たちが思っている以上にどこまでも親友で、決して悲しい終わり方ではなかった。

 

最終回で特に印象的だったのは「お互いがお互いを尊敬し、思いやりをもった」終わり方だったことだ。それから、どこまでも笑顔であったこと。サムネイル通り幸せで、二人のこれから進む道を心の底から祝福できる最高の放送だった。二人の息はいつも通りにぴったりで、いつも通りに笑みがこぼれるものだった。泣きたいほどにハッピーエンドだった。

 

おそらく幕末志士は彼にとってきっと大事な宝物だ。

というのも『キリザキ君は。』で、キリザキ君が必死に砂のお城を崩れないように頑張ろうとするシーンがある。あれはシナリオライターである霧崎鋭本人の幕末志士への率直な気持ちだったと私は思っている。

彼は数々のゲームやSNSで、ある時は『パニ山パニ男』、ある時は『陰』、またある時は『マリオの鼻油』と記しきれないほどのキャラクターと城を築き上げている。中でも最も大きな城は間違いなく『幕末志士』だ。最近周りで流行ってるからみたいな軽いノリではじめたであろう実況がここまで自分の人生を左右するとは、若い頃の二人は思いもしなかったに違いない。霧崎鋭という人物が安定した仕事を捨てても、親戚との縁を切っても、名前を改名してまでも守りたかったもの。それこそが幕末志士という宝物であり、大親友と共にいられる世界だったのだと思う

 

4 霧崎鋭は幕末志士の夢を見る

 

彼はよく西郷との関係性を「セリヌンティウスも真っ青な仲」と言っていたが、今の状態はどこか『走れメロス』に似ている気がする。大親友を信じて待ち続けるセリヌンティウスと、目標に向かって走り続けるメロス最終回で隣にまた立てるよう頑張りたいと言っていた西郷と、幕末志士という場所を守り続ける坂本。その姿が重なってしまうのは私だけだろうか。

 

霧崎鋭は幕末志士の夢を見続ける。そう、私は信じている。

新たな相方である中岡と共に、あるいは新キャラのテリ山で。

西郷が戻ってくるかどうかはわからない。けれども、西郷にとっても彼にとっても幕末志士は宝物だったと私は思う。それだけで、私は彼が幕末志士という舞台で生涯実況を繰り広げてくれる気がしてならない

 

 

きっと彼は世界のエンターテイナーとして、これから私たちを何度も笑わせ、何度も泣かせ、何度も驚かしてくれるだろう。これからどんどん変わっていく新たな幕末志士を考えるだけで、私はとてもわくわくする。何度でもこちらの予想を裏切ってほしいと願ってしまうのだ。

 

坂本さんへ。

いつまでも世界のエンターテイナーとして、世界中を驚かしてください。

あなたとあなたの取り巻く世界と友人が、私はどこまでも大好きです。

 

 

 

 

幕末志士は子供時代の夢を見るか?

 幕末志士の動画を開くと、プールからただよう塩素の香りを思い出す。それもただのプールではない。中学校での五限目、退屈な授業をぼんやりと受けている時にふっと鼻をかすめる自分の洗いざらしの髪の香りだ。


 断言する。


 彼らがまだ活動を始めて間もない一年、二年あるいは三年目、それでも彼らはすでにインターネット上では神様だった。


 現在はとっくのとうに大人となった自分も、その当時はあどけのない少女で、今とは何もかもが違っていた。

 授業中に机の下でこっそり恋空を読み、好きな男の子からのメールの返信でREが続くことに至上の喜びを感じ、教室の隅ではときメモが大流行、モバゲーやヤプログをしていない人はありえなくて、そしてこんなにYouTubeが人気になるとは誰もが思っていなかった。当時のニコニコ動画は動画媒体としては圧倒的に頂点に君臨していた。そういう時代だった。

 暇さえあれば皆ニコニコランキングを毎日巡回して有名な投稿主や動画について語り合っていたし、なによりニコニコ動画特有の湿り気を帯びたどこかダークな感じが少年少女にとってはたまらなく魅力的だった。

 

 それは私にとってもそうで、私は夏になるといつもクーラーをガンガンに効かせた部屋で宿題を置き去りに朝から晩まで永遠にニコニコ動画を流していたしょうもない夏休みの日々を思い出す。そんなニコニコ動画内でも勇者のようなスーパーヒーローのような人気者は幾人もいて、そのうちの、いやその中でも群を抜いた存在だったのが幕末志士という二人組の若者だった。


 正直なところ、当時の私はあまりゲーム実況にはまっていなかったので、彼らについてまるで古参のように語ることは決してできない。けれどもそんな私でも彼らの名前を知っていたし、彼らの動画は数本は見ていた。

 

 初めて見た動画もその感想も好きなところも忘れてしまったなかで、五限目の教室、塩素の匂いのする髪を弄びながら(まさやが話してた幕末志士、名前は知ってたけどずっと見てなかったし見ないとな)と思った、そのぼんやりとしたはじめての記憶だけが、強烈に脳裏に焼けついており、彼らの名前を見るたび頭の中でその記憶が蘇る。ちなみに当時の彼らは私にとって、明るくて仲が良くて遠い存在で、実ににぎやかな大人のお兄さんだった。

 


 だからこそ、長い時が経って、彼らに改めて夢中になった時驚いた。彼らはまだプールの残り香を纏っていたから。
 あの頃単純に声質がいいという理由だけで、少女の私が死ぬほどモテるし死ぬほどイケメンだろうと勝手に予想していた坂本さんは、本人の話を聞く限りモテやイケメンとはかなり遠い位置にいて、少なくとも私がニコニコ動画に夢中になっていたあの頃は大学で研究を熱心にする一方で友達とご飯を食べたり試験の愚痴を言い合ったり、あるいは会社に入りたててでヒーヒー言いながら仕事に励んでいたようで、それはあまりにも自分に覚えがある生活だった。

 それから大人びて見えていた西郷さんは実はかなり天然かつ天真爛漫な男で、これも私を驚かせた。

 

 放送で私生活を語ってくれる時点で、二人がどんなにキャラクターを演じていても、彼らが人間であること、この世界に確かに存在していること、そして私とたいして変わらない庶民のおだやかな日々を生きていることは否が応でも感じてしまう。二人は神様なんかじゃなかった。神様ではなく、親友と仲がいい、無類のゲーム好きの、一庶民の年上の男たちだった。それでも二人は子供時代をまだ生き続けていて、私にとっては変わることのない存在に違いなかった。

 

 

 大人だからこそ、変わらない存在であり続けることや子供時代を生き続けることの難しさが今ならわかる。
 例えば少女のあの頃、同じように洗い立ての髪を靡かせていた同級生の進路や今の状況を私はほとんど知らない。ゲームよりもコスメや服の方にお金をかけてしまうし、くだらないことを話せる友達もぐんと減り、かわりにお酒を片手に結婚や将来のことについて語る友人が増えた。Twitterでこそ馬鹿みたいに毎日騒ぎ立てているものの、現実世界では少女の時のようにオタク全開で周りに無差別に好きなものについて語ることもなく、周りの人間は私を無趣味だと思っている。

 

 きっと大人である時点で、彼ら二人も大なり小なりそういうことは経験しているだろう。大人になってから子供時代を生き続けるには、それ相応の努力と覚悟が必要で、彼らの動画が奇跡的な展開と子供の時のような無邪気さと異様なテンションを繰り広げる裏で血の滲むような努力と時間が費やされていること、そしてたまにもらす苦労を聞くとその大変さがわかるような気がする。

 

 けれども、だからこそ、この二人が好きになった。

 どこまでも朴訥で穏やかな札幌という地方都市で「好き」に対して悩みながらも人生を変え、前へと進んで、けれども一方で楽しみながら努力し続ける姿勢はどこからどうみても美しい。いつまでも、いつまでも、終わらない流れ星のように彼らを見つめていたいと願ってしまう。

 

 二人はいつもプールの残り香を私に連れてくる。
 今日の夜、その舞台をニコニコ動画からYouTubeに移してもなお、彼らはきっとどこか懐かしさを帯びた配信を行うのだろう。

 

 そうして私は私のように彼らの名前を見た時自身の子供時代を思い出す新規の方もいるんじゃないかと思うと、無性にわくわくしてしまうのだ。